中央共同募金会事業(2023年度)
2022年度「医療的ケア児・重症心身障害児等とその家族を支援するための看護職を増やす事業」についてはこちら(終了済み)
事業概要
2022年度に引き続き、中央共同募金会「重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」を特定非営利活動法人みかんぐみ様が採択されたのを受け、当事者ご家族および看護職を対象とした2つの事業がNfNへ業務委託されました(実施期間:2023年6月~2024年3月)
背景
近年、医療の高度化とともに日常生活や学校生活等で医療的ケア(以下、医ケア)を必要とする児童は全国で2万人にものぼると言われています。2021年9月に「医療的ケア児支援法」が施行されたが、その児童や家族のための支援は全国的に不足しているだけでなく、ケアの担い手である看護職が確保できないといった深刻な問題があります。全国で医療的ケア児支援センターの整備やサービスの拡充が進むなか、当事者家族とケアの担い手である/なり得る看護職の相互理解が今後益々重要になります。
Nurse for Nurseでは2022年11月、NPO法人みかんぐみ様と一緒に「医療的ケア児・重症心身障害児等とその家族を支援するための看護職を増やす事業」の一環で「集まれ!看護職たち 医療的ケア児・重症心身障害児の暮らしを支える×看護職のキャリア」と題したウェビナーを開催しました。お申し込み者200名以上、アーカイブ視聴回数は1,000回を超えました。また、全国から参加者を募った見学プログラムでは、看護職が当事者ご家族の生活の場を訪問させていただくことに加え、みかんぐみ様のピアスタッフ(当事者ご家族)と看護職が交流する場を設けました。その際に、当事者ご家族から看護職へたくさんの期待の声が寄せられました。また、看護職自身も当事者ご家族から学ぶことが多く、日ごろ子ども達を通じて接していても、自由に本音で話が出来る機会はなかなかないということが分かりました。また、利害関係のないところで交流することは相互理解の促進につながることも感じました。そして、当事者ご家族が看護職に何を求めているのか、「課題」とされていることに看護職はどう向き合い、取り組んでいるのかを体系的に知ることの重要性も浮かび上がりました。
そこで、地域で暮らす子供たちにとってより良い看護サービスの提供を目指し、2023年度は下記2つの事業①当事者ご家族と看護職の交流会②当事者ご家族と看護職を対象とした調査研究に取り組みます。
Nurse for Nurseは本事業が本領域に関心のある看護職および従事されている看護職のキャリア開発の一助となり、地域で暮らす子どもたちの支援を担う看護職が一人でも増えることを願っています。
事業内容
医療的ケア児・重症児等の当事者ご家族と看護職の交流会
〜お互いの声を聴いてみよう〜
現在、サービス利用者である当事者ご家族と看護職が、互いの想いを聞ける機会はそう多くありません。2022年度に実施した事業では、当事者ご家族にとって家族の現状や負担を看護職に知ってもらうこと、看護職へ期待すること(改善点含め)を発信する場はご家族にとって重要であることが分かりました。また、看護職自身も何が求めらえているかを体験談を通してお話しいただくことで、自分たちの課題が見えたり、モチベーションの向上にもつながっていました。よって、双方にとって有意義な時間となり、相互理解の促進につながるような交流会を開催します。
当事者家族と看護職・・・
日ごろ子ども達を通じて接していても、自由に質問したり本音で話が出来る機会はなかなか持てないものです。一度、お互いの声を聴いてみませんか?
子どもたちと普段接していない看護職の方も、他の地域の状況にご関心ある方も、是非ご参加ください。
開催日時:2023年11月19日10:00-12:00(Zoomミーティング)
参加費:無料(要事前申し込み)
参加条件:
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当事者ご家族:日常的に医療的ケア児・重症心身障害児の養育に携わっている方
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看護職:医療的ケア児・重症心身障害児のケアに現在関わっている方、または関心がある方
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看護学生:本領域に関心のある学生(冒頭1時間のご発表から質疑応答までのご参加となります。)
<プログラム>
1000-1020 オープニング(特定非営利活動法人みかんぐみ・一般社団法人Nurse for Nurse)
1020-1030 北村千章先生によるご発表:「子供たちの支援にあたる看護職とご家族の関係性」
1030-1050
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当事者ご家族によるご発表:「家族の生活と看護職との関わり」
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看護職によるご発表:「医療的ケア児の看護とキャリア」
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田端支普(訪問看護ステーション ハートフリーやすらぎ 管理者)
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木内昌子(一般社団法人MEPL代表理事)
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1050-1100 コメント・質疑応答
1100-1150 交流会:「お互いの声を聴いてみよう」(少人数制・ブレイクアウトルーム使用)
1150-1200 クロージング
②調査研究
地域で暮らす医療的ケア児等のご家族と看護職の協働
〜家族とともに考える地域の看護職のキャリア開発〜
研究実施期間:2023年9月15日~2024年3月31日
特定非営利活動法人みかんぐみと一般社団法人Nurse for Nurseでは、重症心身障害児や医療的ケア児の社会生活を支える看護職が不足している社会課題にともに取り組むため、調査研究を実施します。
本研究*の目的は、重症心身障害児および医療的ケアを必要とする子ども(以下、医療的ケア児等)のご家族が子どものケアを委ねる看護職へ抱く思いと、そのケアを子どもが生活する場で引き受ける看護師が抱いている困難感や看護ケアへのやりがいを明らかにすることです。結果を通して、相互理解を深め、社会課題の解決に子どものご家族と看護職が協働して取り組める関係性の構築を目指していきたいと考えています。
*本研究は恩賜財団済生会横浜市東部病院の研究倫理審査の承認を得ています(承認番号: 20230088)
研究目標:
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医療的ケア児等が利用するサービスの実態を明らかにする。
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医療的ケア児等の養育者が子どものケアを委ねる上で看護職に抱く不安、安心感の要因および看護職への期待と現状の満足度を明らかにする。
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医療的ケア児等が利用し、看護職に対する課題が多いと家族が認識しているサービスで働く看護職が子どものケアにおける困難の要因、またそれらにおけるご家族との関係性(困難を高めている状況、困難を解決できる状況)について明らかにする。
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上記2,3の結果を踏まえ、子どものケアを委譲・引き受ける関係性の中でご家族と看護職の認識の共通点と相違点を明らかにし、それらの解決方法について検討する。
対象:
養育者:医療的ケア児等を養育する者で、以下の基準をすべて満たす方を対象とします。
①大島分類の1, 2, 3, 4に該当する重症心身障害児もしくは、下記医療的ケアを必要とする医療的ケア児を自宅で養育している方
医療的ケア:人工呼吸器管理、気管内挿管・気管切開、鼻咽頭エアウェイ、酸素吸入、吸引(気管内、口腔・鼻腔内) 、ネブライザー、 IVH(中心静脈栄養)、経管栄養(経鼻・胃ろう・腸ろう)、 持続注入ポンプ使用、継続する透析(腹膜灌流を含む)、定期導尿、人工肛門、血糖値測定、インスリン投与
②子どもの年齢は18歳以下である
③ご家族以外にケアを実施するサービス(訪問看護、児童発達支援、放課後等デイサービス、短期入所サービス、学校等の教育サービスなど)を利用している方
④関東の1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に在住している方
<Web調査ご協力へのお願い(予めご同意いただく内容)>
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本調査への協力は任意であり、調査に参加しなくても不利益が生じることはありません。
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本調査は終了後に送信をされましたら撤回ができませんので、ご承知おきください。
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調査で得られたデータは厳重に保管し、統計的に処理を行うため、個人の情報は保護されます。
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いただいたデータから得られた結果はウェブサイトや各種イベント等での報告、学会での発表、学会誌への投稿などを予定しています。
アンケート:ご家族の皆様、調査へのご協力ありがとうございました!
回答期限:2023年10月10日(火)
看護職:
この研究は、重症心身障害児および医療的ケアを必要とする子どもの地域生活を支えるために必要な看護をご家族とともに考えることを目指しています。学校や通所施設等で活動する看護師はまだまだ少ないですが、医療的ケア児等のご家族はそれらの場で働く看護職へ大きな期待を寄せています。ご家族の思いと皆さまの看護がつながり、子どもたちのより良いケアを考えていく協働者が増えていけるよう、皆さまがどのような看護をしているか、どのような看護が必要だと思っているか、ぜひ教えてください。研究の結果を公表する際に、個人の氏名や所属先等が特定されることはありません。
研究対象:
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医療的ケア児等の成長発達を支える教育・福祉施設(小学校/特別支援学校(小学部)または放課後等デイサービス)で看護職として働く方
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該当施設で看護経験年数が合計3年以上10年未満(*雇用形態(常勤・非常勤など)は問いません)
以下を除外基準とする
重症心身障害児及び医療的ケア児の家族へのケアや子どもへのケアが助言のみの支援である(ケア調整など)
研究方法:Web会議システムを利用したグループインタビュー
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小学校/特別支援学校(小学部)にご勤務の方:12月10日(日)15-17時
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放課後等デイサービスにご勤務の方:12月16日(土)10-12時
本事業は「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン 重症児等とその家族に対する支援活動応援助成」を受けて実施しています。ご寄付いただいた皆様に感謝申し上げます。